2012年05月29日

溶連菌感染症に伴う皮疹

30代の女性が3ヶ月ほど続く湿疹とのど痛で受診されました。皮疹は肘下部と大腿部に粟粒大の皮下出血が集簇しているように見えました。

溶連菌感染症に伴う皮疹

溶連菌感染症に伴う皮疹

溶連菌感染症に伴う皮疹



のど痛、咽喉部の発赤もあったことから溶連菌感染症に伴う皮疹を疑い、ペニシリン系抗生物質を経口投与したところ、1週間後には皮疹はすっかり消退しました。

溶連菌感染症に伴う皮疹

溶連菌感染症に伴う皮疹

溶連菌感染症に伴う皮疹


検査結果ではASLO 285U/mlと上昇していて、溶連菌感染が裏付けられました。小児の溶連菌感染は全身症状も強く猩紅熱といわれるほど皮疹も鮮明ですが、成人ではこうした形も見られます。
posted by gomeisa at 15:47| 湿疹

2007年07月27日

湿疹(その2)

 患者さんは66才の男性です。来院する4ヵ月前から全身に湿疹が出現し、皮膚科からは貨幣状湿疹と自家感作性皮膚炎と診断され治療を受けてきました。しかし、はかばかしい改善が得られないため、インターネットで当院の事を知った子供さんに勧められて平成17年の7月に来院されました。

 初診時には全身に湿疹が出ている上に、手掌と足底にも皮疹が見られ、貨幣状湿疹に掌蹠膿疱症も合併しているようでした。特筆すべきは検査所見で白血球数が14100あり、そのうち好酸球が37%も占めていたことです。IgEは273mg/dlとやや上昇はしていましたが、特異的アレルゲンでは陽性なものはありませんでした。何かのアレルギーはあるものの特定はできない状態でした。

湿疹2ー初診時
胸腹部ー初診時

湿疹2ー初診時
背部ー初診時

湿疹2ー初診時
下肢ー初診時

湿疹2ー初診時
大腿部ー初診時

湿疹2ー初診時
手掌ー初診時

湿疹2ー初診時
足底部


 湿疹の程度が強くまた患者さんの治療意欲も十分あったので、漢方薬の煎じ薬治療を行いました。内容は白虎加人参湯加黄連(1.0g)山梔子(3.0g)黄柏(3.0g)但し人参(4.0g)石膏(48.0g)です。2週間後に再診したところ、服用開始して2日目から改善が見られたとのことでした。胸腹部、背部、下肢ともに発赤が軽減しています。

湿疹2ー胸腹部ー2週間後
胸腹部ー2週間後

湿疹2ー背部ー2週間後
背部ー2週間後

湿疹2ー下肢ー2週間後
下肢ー2週間後


 5週間後には手掌、足底部、胸腹部、背部はかなり改善しましたが、脇腹に今までと異なる丘疹状の湿疹が出始めました。

湿疹2ー手掌ー5週間後
手掌ー5週間後

湿疹2ー足底部ー5週間後
足底部ー5週間後

湿疹2ー脇腹ー5週間後
脇腹ー5週間後


 2ヶ月後になると手掌、足底部の湿疹の増悪はあったものの、体幹部、四肢の湿疹はかなり改善しました。

湿疹2ー手掌ー2ヵ月後
手掌ー2ヵ月後

湿疹2ー胸腹部ー2ヵ月後
胸腹部ー2ヵ月後

湿疹2ー背部ー2ヵ月後
背部ー2ヵ月後

湿疹2ー下肢ー2ヵ月後
下肢ー2ヵ月後


 その後、爪の変形(3ヶ月後)、全身に丘疹状の新たな湿疹の出現(5ヶ月後)などがありましたが、それらも一過性でおさまっていきました。血液検査の結果は2ヶ月後白血球数8600うち好酸球9.3%、4ヵ月後白血球数7700うち好酸球3.4%と正常化しました。そしてちょうど半年後の診察を最後に来院されなくなりました。

湿疹2ー爪の変形ー2ヵ月後
爪の変形ー3ヵ月後

湿疹2ー腹部ー2ヵ月後
腹部ー5ヵ月後

湿疹2ー上肢ー2ヵ月後
上肢ー5ヵ月後


 最後に来られてから1年半経って、そういえばあの方どうしているかなとスタッフで噂が出た頃、ふらりと来院されました。良くなったところを見せに来たとの嬉しい言葉。確かに全身に出ていた湿疹はすっかりなくなっていました。爪の変形、掌蹠膿疱症も消失しています。最初に来られてからちょうど2年目でした。

湿疹2ー胸腹部ー2年後
胸腹部ー2年後

湿疹2ー背部ー2年後
背部ー2年後

湿疹2ー下肢ー2年後
下肢ー2年後


 全身性の湿疹に掌蹠膿疱症を合併した患者さんに半年間の漢方煎じ薬治療を行い完治した例です。この方は初診の時から非常に治療に積極的で多少の症状増悪があっても、漢方薬を疑う事無く飲み続けてくれ、遠方にあるにもかかわらずまめに通院してくれたのが治癒できた最大の要因だと思います。検査結果をみれば何らかの強いアレルギー反応がおき、皮膚病変の形で現れたのは確かです。漢方治療によって症状が改善するとともに検査結果も正常化していきました。併用薬剤としては痒みの強い時に抗ヒスタミン薬(アレロック)の内服と中等度の強さのステロイド軟膏(リンデロンVG)の塗布、手と足底には漢方の塗り薬である紫雲膏を使っています。漢方処方は途中でさらに黄耆5.0g、ヨクイニン16.0gを加えた時期がありましたが、それ以外は初めから最後まで変えていません。湿疹は一度出ると持続する傾向があります。病変が全身に拡がると患者さんの苦痛と不安は相当なものですが、根気よく漢方治療すればちゃんと治っていきます。
posted by gomeisa at 00:00| 湿疹

2006年07月23日

湿疹(その1)

 湿疹は皮膚科では最もありふれた疾患ですが、意外に治りにくく、また治っても再発の多い皮膚科疾患でもあります。皮膚科で単純に治らないケースには、漢方治療を行う機会も多いです。
 患者さんは50才台半ばの男性です。5年程前から背中などに湿疹が出始め、貨幣状湿疹といわれ、おもに塗り薬で治療されてきました。時に自家感作性皮膚炎を起こし、セレスタミンという抗ヒスタミン薬とステロイドの合剤を1日1〜3錠服用していました。(自家感作性皮膚炎というのは、体内の細菌感染(病巣感染)や湿疹などが原因で、全身性に湿疹が拡がってしまう病態。抗ヒスタミン薬と抗生物質の内服、ステロイド剤の外用などを行うが、治療に難渋する場合も多い。)来院の半年程前からは消風散という漢方薬も服用しています。しかし、完治しないどころかむしろ悪化してきたため、平成17年の秋に当院を受診されました。
 初診時には背中に地図上の湿疹があり四肢にも小さな湿疹が点在していました。


湿疹1ー初診時
背中ー初診時

湿疹1ー初診時
下肢ー初診時

湿疹1ー初診時
背中ー拡大

 お血が原因になっているように思えたので、桂枝茯苓丸をエキス剤で処方したところ、2週間後には病変はかえって拡がってしまいました。最初に症状がかえって悪化することを、漢方では瞑眩(めんけん)といって、患者さんには「毒をまず出します」とか説明する漢方医も多いようですが、私は必ずしも瞑眩が多いとは思えず、むしろ漢方薬の選定間違い(誤治)がほとんどのような気がしています。

湿疹ー背中ー2週間後
背中ー2週間後

湿疹ー左上腕ー2週間後
左上腕ー2週間後

 どうも今の処方のままで良いとも思えず、しかし、間違いともいいきれず、結局白虎加人参湯を追加して様子を見ることにしました。ちなみにステロイド外用剤はいっさい使わず、塗り薬としては生薬系のアズノール軟膏だけを使っています。そして、下が4週間後の背中の様子です。うーん、湿疹の赤みはやや減ったものの、範囲はさらに拡大しています。ここにいたって、桂枝茯苓丸は中止し、白虎加人参湯と黄連解毒湯に切り替えました。

湿疹ー背中ー4週間後
背中ー4週間後

 下が桂枝茯苓丸から白虎加人参湯と黄連解毒湯に切り替えて2週間後(初診から6週間後)の背中の所見です。全体に赤みがとれ、湿疹の範囲も拡大していません。薬が合うと漢方治療でも意外なほど早く効果が出るものです。

湿疹ー背中ー6週間後
背中ー6週間後

 さらに2ヵ月経過後(初診から3ヵ月2週間後)の様子です。順調に発赤が軽くなり範囲も縮小してきました。

湿疹ー背中ー3ヵ月2週間後
背中ー3ヵ月2週間後

背中ー3ヵ月2週間後
 同じ処方を継続してさらに1ヵ月後(初診から4ヵ月2週間後)になりますと。さしもの背中の色素沈着もすっかりとれ、皮膚も良い状態になっています。四肢など他の部位も湿疹があった事がわからない程に改善しています。

湿疹ー背中ー4ヵ月2週間後
背中ー4ヵ月2週間後

湿疹ー下腿ー4ヵ月2週間後
下腿ー4ヵ月2週間後

 現在初診から約10ヵ月が経過し、ほとんど新しい湿疹は出なくなっています。肌の状態がしっとりして良くなったと喜ばれています。一応今も念のために漢方薬を服用中です。下に現在の様子を最後に出しておきます。

湿疹ー背中ー10ヵ月後
背中ー10ヵ月後

 この方の場合、結果からみれば桂枝茯苓丸は余計だったようで、少し回り道をしてしまいました。しかし、漢方治療の場合、疾患と処方の対応が曖昧なところがあり、なかなか初めからストライクという訳にはいかないものです。ちなみに検査値ではIgEは正常、RASTも調べた範囲では正常範囲でした。唯一白血球のアレルギーの指標である好酸球が、初診時11.0%と高値(正常は5%以下)だったのが、4ヵ月後には3.1%と低下していました。
posted by gomeisa at 00:00| 湿疹